1999年の「行動科学のデータ解析」履修者諸君の感想

(4年:女)2000.3.9
「行動科学のデータ解析」の講義について
これまで、早稲田大学の心理学専修では、多変量解析についての講義が ほとんどなく、また、心理学において、きちんとした統計の知識を学べる 機会は少ないので、この講義は非常に貴重なものだと思う。
特に、進学を考えている人にとって、この授業は心理学における統計の 知識の重要さというものを認識できる。
先生は、学生の質問に対し、こちらが恐縮してしまうほど非常に誠意を 持って熱心に考えてくださり、求めるものの5倍くらいのご返答をくださ る。(個人的には先生の負担が多すぎると思うのでもう少し適当に答えら れた方がいいと思うのですがどうでしょうか。)先生は一見バリバリの統 計学者風だか、かなり学生の視点に立った考え方をされるので、誠実さを 感じる。飲み会もお好きと見える。また、ノートを取ることで講義が聞け なくなるということを配慮し、講義で使用する資料(Power Pointの資料 も含めて)はすべて手に入るようにされている。

講義内容は、広範囲にわたる多変量解析について、学部生向けには少し 高度な内容になっていると思う。特に、統計の知識が皆無の学生にはつい ていくのが難しいと思う。また、心理学専修で統計の講義を受けている学 生にとっても、独習することがなければ、内容を理解することは困難であ り、つまらないものになってしまうと思う。必修の統計の講義の参考程度 のためにとるのであれば、はまってしまうであろう。講義は主にPower Pointによる資料を使っての解説であるため、教室が薄暗く、興味がない人 は眠りを誘われる。しかし、統計に興味がある人や、進学して統計を使用 する人にとっては、それだけの時間・労力をかけても、得るものは大きい はずと思う。

(3年:男)2000.3.24
とても楽しかった、というのが率直な感想。シラバスを見て「おもしろそうだな。」と思って授業をとり、「こんな筈じゃなかった。」と後悔するのが、毎年よくあるケースなのだが、この授業はシラバスの内容どおり、とても面白い授業だった。

先生の「しゃべり」がとてもいい。「データ解析」という、かなり数理的かつ実利的なモノを教えているにもかかわらず、先生の話を聞いていると、「データ解析」がとても哲学的で美的なモノ(数学の苦手な文学部生にも、とっつきやすいモノ)のように感じられる。授業中頻繁に引用される哲学者・文学者(マルクス、デカルト、夏目漱石 etc)の言葉から先生の教養が滲み出ている。シラバスにあるように「数理的説明より直感的理解を優先」した授業内容になっているような気はする。

しかし、授業の後、一人で復習してみると、その内容の難しさに愕然とするものがある。どんなに先生の語り口がやわらかくてもやっている内容の難しさには何ら変わりはないのである。先生は生徒の質問に丁寧に誠意を持って応えてくれるのでここががんばりどころであろう。(しかし、授業以外のことについてはあまり多くを語りたがらないようである。先生いわく、「教師に人生体験の雄弁なんか期待しちゃあいけない.彼が修行してきた専門性の伝達だけが最後まで感化力を維持するのである」らしい。普通の生徒は授業以外のことに関して教師に質問しないだろうが。)
授業の要所要所で繰り返される「現象=構造+差異」という哲学的表現が、くじけそうになった心を鼓舞してくれる。

結論を言うとこの授業はかなりおすすめの授業である。先生が最初の授業でおっしゃっていた「大学で学んで唯一社会に出てから役に立つ授業」かどうかはさておき、世の中で生起している現象に対して新たなモノの見方ができるようになることは、確かである。