猪原による主成分解釈法のプログラム 鈴木 督久 主成分分析は多変量解析の代表的な手法で,最も広く応用されている.主成分 の解釈については,固有ベクトルや因子負荷行列を利用する方法が教科書に書 いてあるが,第2主成分以下の解釈に関しては,やや経験が必要かも知れない. 固有ベクトルあるいは因子負荷がどの程度の大きさであれば,解釈すべき観測 変数だと判断するのか,という指針は教科書にはあまり明示されていない.理 論的な基準がなく,状況に応じた相対的な基準の問題だからであろう. 猪原(1997)は主成分の実用的な解釈法を提案した.検定結果によって解釈すべ き観測変数を明示するという簡潔なアイデアである.この方法がステレオタイ プに使われるとしたら弊害もあるかも知れないが,従来の解釈方法と組み合わ せると便利である.また,仮にステレオタイプに利用されても,解釈を間違え ることは無いのではないか,と思われる.少なくとも解析者の主観的都合が解 釈に混入する余地はない. そこで,主成分分析のプログラムに猪原(1997)の提案が同時に出力されれば便 利だと考えて,SASのマクロ:%PCASIGNを作成した.主成分分析プロシジャ 「princomp」を実行すると猪原(1997)を同時に出力する.