巨悪は眠らせない東京地検特捜部がlivedoorの強制捜査に踏み切った。 優秀な弁護士を雇って合法性の範囲内でやってきたかと思っていたが, これから特捜部との闘いが始まる。ホリエモンは眠っているだろうか。

アメリカのようなマネーゲームやM&Aを日本で実現してみせたが, ハリウッド映画の話が目の前に展開されているようである。
自民党も公認しなくて良かったと思っているだろうが,支援はした。亀井静香だって言いたいことは山ほどあるだろう。

伝統的な受益システムの外部にいて,ハダカ一貫から稼いでみせた姿 に若者からの支持があったようだが,やっていい限度がある,と東京地検は 言っているかのようである。

ホリエモンの内心は分からないが,金を稼ぐ姿をみていると,思い出すのは漱石の 『行人』 の一節である。


兄さんは落ちついて寝ていられないから起きると云います。
起きると、ただ起きていられないから歩くと云います。
歩くとただ歩いていられないから走(か)けると云います。
すでに走け出した以上、どこまで行っても止まれないと云います。
止まれないばかりなら好いが刻一刻と速力を増して行かなければならないと云います。
その極端を想像すると恐ろしいと云います。
冷汗が出るように恐ろしいと云います。
怖(こわ)くて怖くてたまらないと云います。


始めてしまったら途中で降りることはできない。漱石の予感した「近代」の刻一刻はさらに極端へと進行しているのか。 情報の差異で利益をあげるには,スピードの高度化は不可避的であり,ワン・クリックで巨額の損益が決まってしまう。そこに命を削るためには神経を鍛錬するか鈍化していなければ耐えられない。

livedoorに関心はなかったが,以下のサービスについて閲覧したことがある。

  • 無線LAN。都内にベタベタに張り巡らせてある。料金も安く,これは魅力的だと思って検討したが,結局やめて,docomoの日額サービスにした。livedoorには月額料金しかないことと,つながりにくいという風説を耳にしたこと,無線が必要になるのは都内より,地方にいるときが多いと思ったことなどである。しかし徹底的であり,ひとつの戦略だと思った。
  • ブログ。どこでも無料ブログはあるが,結局やめた。約款を読んだら,ブログのデータの保存については保証しない,ということであった。ここを読んでやめることにした。NECのBIGLOBEサービスの約款をみたが,とくに保証しないとは書いてなかった。べつだん,データ保存を保証してくれ,とまで言わないが,もしもの時は,バックアップや事前DLを告知するくらいのサービスは期待する。自分のサーバーだって完全には保証されていないとは思うが。
  • DVDのレンタル。ぽすれん,というのだが,今回の事件で子会社であることを知った。実はこのサービスのユーザーである。ほかにネットでDVDのレンタルをしていることろはないのではないかと思う。近所のレンタル屋は小さくて品揃えが少ない。TUTAYAもGEOも少し遠い。これまでの月間DVDレンタルの支払いと比較すると,livedoorの方が安いということで決めた。タイトルも充実している。借りたい映画がなかったので,リクエストしたらしばらくして入荷された(偶然かな?)。発送は十分早い。返却の記録も早い。リアルタイムで作業していることがわかる。こういうところのスピード感はよろしい。
    ときとき,沖縄の「ちんすこう」(大好きである)をネットで直接注文するが,先日メールが遅かったので電話したら「パソコンが壊れてしまって今,見れないんです」と返事があった。ほほえましい。しかし発注処理は通常通りされていて本日ちゃんと届いた。「ゆうぱっく」は日曜日でも配達するんだな。ヤマト運輸が喧嘩するわけだ。
  • ポータルサイト。私のサイトがリンク掲載されている。「自然科学」→「数学」→「統計学」のところにある。むろん,livedoorからリンクの事前確認はきていない(リンク・フリーのつもりなので構わないが)。これはほぼYahooのリンク集の真似である。堂々と真似している,というか徹底的に真似している。リンク集には著作権とか編集権とかないのだろうか?。ただし,全体としてYahooと見た印象が同じなのだが,一応オリジナルに少しコメント変更するなど手を加えていて,単純なコピーをしているわけではない。私のページもサーファーが確認した形跡のあるコメントがついていた。

TUTAYAもYahooもDVDのオンライン・レンタルはあった。TUTAYAを検索すると,トップにTUTAYA・ONLINE(DVD販売)が出てくるので,オンラインでは「販売」はあるが「レンタル」はないものと思い込んでいた。オンライン・レンタルのサービスはTUTAYA・DISCASにあるのだが,これは別サイト。オンライン・レンタルでなく店舗レンタルに戦略特化していると思い込んでいた。DISCASは「レントラック・ジャパン」という会社であった。

本業で利益が出ないがアイデアはあるとき先行投資したい。成功の見込みがあればなおさらである。「先立つもの」が必要なのでマネー・ゲームをしたくなる。最初は,そのくらいの感覚かも知れない。途中から本業より,てっとり早いという気分にでもなったのか。
ただのサラリーマンの父親の背中をみて,東京大学に入学したホリエモンが,安月給で育ててもらった父親の人生に何を見ていたのか。世間をなめた分だけ,世間から復讐される。闘う相手が階級ではなく,消費者一般にまで及んだ時,自分自身が外部からチェックされるべき立場に上昇した時,持ちこたえるだけの直接性は残っていなかったのか。