政治学者がマスコミ世論調査の現状をこれだけ語ったのであるから, 調査法の立場からも返礼すべきである. 学者にとって,方法論としての魅力が少ない世論調査を取り上げ. よく取材し,よくフォローしている.
重み集計については混乱しているか,少なくとも読者を混乱させそうである. 世論調査の抽出確率の重みと,回収標本と母集団との構成比補正と,選挙予測の補正と, 共変量の影響補正−−が,さまざまな「ウエート」「補正」「調整」「加工」という言葉で 解説されている.整理する必要があると思うが,これは調査法の立場がやればよい.
この本は1つだけ,とても重要な指摘をしていると思う. 世論調査の速報化問題である.現在,各社とも完全に日曜組(月曜付)となった. 平日と休日を組み合わせ,数日かけて実査をすることは世論調査の品質向上のために 大切なことである.しかし調査の立場と編集の立場は違う・・・.