SAS Release 8.01 TS 01M0

  • 言語としてのV8の良いところは長い間切望していた文字変数の長さ制限の撤廃(MAX=32760)である.200バイト制限というナンセンスな制限があれば,テキストマイニングなどに無力となる.ついでに変数名やラベルも長くなって,これも便利であろう.
  • EFAにおけるλ等の自由母数の標準誤差が推定されるようになった.岡山の行動計量学会のあるセッションで指摘されていた.あの時,柳井先生が指定討論者としてコメントし「それ(λの標準誤差)が理論的に算出できたとして,それをいったい何に使うんですか?」と質問した.意外にも実用的な観点からのコメントであった.発表者も予期せぬリアクションではなかったか?.こういうコメントは竹内先生が得意ではないだろうか.狭く高度な議論をしたあと,最後に「きみ,それで,こんなんやって何の役に立つの?」というのである.こういう質問は竹内先生だからできるのだろうが,実務家から理論家にするのは反則であろうと思う.聞いちゃあいけないお約束である.実践現場から見れば空理空論,机上の理論.多くの場合は輸入品.なんにも現場がわかちゃあいない,といことになる.しかし専門性とは何であろうか.理論には理論的な質問をしてさしあげたい.理論と実践が没交渉でいいということではない.理論家は実用などに堕落しちゃあいけない,という位の誇りを嫌味なく持つべきである.理論と実践は,お互いを自然に尊敬できるべきである.優れた理論である限り,かならず優れて現実的である.理論家は理論を理論的に磨くことが実践である.それは田畑を耕す実践と等価でなければならない.そう思うことが健全な精神ではないだろうか.そうでなければ,「インテリゲンチャは農村へ行って耕して来い」と粛清する精神に直通するし,理論が実践より上品で偉いと錯覚する精神に直通する.どちらも同じコインの裏表である.それはやはりおかしいと思うのである.理論家と実践家は別人とは限らない.我々は自分自身の中に理論家と実践家を同居させている.
  • エクスプローラ・ウインドウは何が便利なのだろう?.消すことができない(!?).結果ウインドウもSPSSのようになったが,これは管理単位を明確にしたということか?.HTMLファイルを作るときなどは便利かもしれない.グラフのcopy&pasteも容易になるか?
  • config ファイル(Sasv8.cfg)の記述が無効である.バグか?.-SET SASAUTOSにユーザー作成のマクロ群を入れたフォルダを指定しても動作しない.
  • sas root に autoexec.sas ファイルを作成しても参照しないで起動する.バグに違いない.
  • keys 設定で next コマンドを設定したが,エクスプローラ・ウインドウに移動するとそこから脱出できなくなる.バグか仕様変更か?.コマンドウインドウにnextを入力して実行するとうまく動作するのだが.
  • 拡張エディタを抑止して古風なプログラムエディタに戻して利用している,拡張エディタを使いこなせば,いいのだろうが面倒な気分.SASがいまさらエディタにこだわるくらいなら,ユーザーの指定するエディタを組み込めるくらい開放的な設計にしたらどうだろうか.実際,私は秀丸でプログラムを書き,SASに include して実行する環境を好んで使う.SASのエディタが古すぎたからである.
  • proc factor の round オプションがなくなってしまった(!).なぜか out = オプションを指定するとERROR になってしまう(!).それは入力データセットにkeepオプションを指定して分析変数を限定した場合に起きるようである.V6で動いた同じプログラムがエラーになる.
  • sasv8.cfg autoexec.sas の件は問い合わせて判明.V8以降はファイルの場所が変更になったのだ.どこかにその変更は書いてあるかもしれないが・・・・.目立つところには書いてないようだ.
  • keys も分かった.CTL-M に next をして指定いていたのだが,これはV8からできたエクスプローラ・ウインドウの予約されていたのだ(!).ユーザーが指定可能なキーは減ってしまった.しかもウインドウによってキーが違うのである.いまどき,マウスじゃなくてキーのユーザーはいないだろうということか?.私もマウスを使うけれど,仕事がのってくると,かなりのスピードでプログラムを書き,SASを実行するから,キーボードだけで仕事する.キーが重要なのである.
  • roundオプションは次のバージョンで復活するそうだ.世界中のユーザーから苦情が相次いだのかな?.どうして廃止したんだろうか?.あんな便利なオプション.